
スウェーデン旅行記8回目となる今回は、ストックホルムにある「北方民族博物館」を訪れました。
スカンジナビアの歴史や文化を深く学べるこの博物館は、圧巻の建築と膨大な展示数を誇ります。
実際に訪れた体験をもとに、見どころや注意点を詳しくご紹介します。
北方民族博物館とは(歴史・背景)
スウェーデンのストックホルム、ユールゴーデン島に位置する「北方民族博物館(Nordic Museum / Nordiska museet)」は、スウェーデン最大の文化史博物館です。1873年にアルトゥール・ハゼリウスによって設立され、当初は「スカンジナビア民族誌コレクション」として知られていました。急速に変化するスウェーデンや北欧の民俗文化を保存することを目的としており、16世紀から現代に至るまでの農村や都市の暮らしを伝える貴重な品々が収蔵されています。
現在の博物館の建物は、デンマーク・ルネサンス様式を取り入れた壮麗な建築で、建築家イサーク・グスタフ・クラソンによって設計されました。1907年に完成し、館内の大ホールにはスウェーデン王国の建国者であるグスタフ・ヴァーサ王の巨大な彫像が展示されています。収蔵品は150万点以上におよび、家具や衣服、おもちゃ、写真など、北欧の歴史や文化を知る上で貴重な資料が多数揃っています。
アクセス方法

ストックホルムにある「北方民族博物館(Nordiska museet)」へのアクセス方法をご紹介します。さまざまな交通手段を利用して訪れることができます。
バスでのアクセス
バス67番:「Nordiska museet/Vasamuseet」停留所で下車。または、バス76番・69番:「Djurgårdsbron」停留所で下車。
トラムでのアクセス
トラム7番:「Nordiska museet/Vasamuseet」停留所で下車。
地下鉄(メトロ)でのアクセス
レッドライン(13番):「Karlaplan」駅で下車。そこから博物館まで徒歩約10分(約800m)。
フェリーでのアクセス
ユールゴーデン・フェリー:スルッセン(Slussen)、ハンマルビー・シェースタッド(Hammarby Sjöstad)、またはバイキング・ターミナル(Viking Terminal)から乗船し、「Allmänna Gränd」停留所で下船。そこから徒歩ですぐの距離。
徒歩でのアクセス
ストックホルム中心部から徒歩で約30分(約2.5km)。散策しながら向かうのもオススメ。
自転車でのアクセス
ストックホルム市内にはユールゴーデンまで続く自転車専用道路が整備されています。博物館の入り口付近には駐輪場も完備。
予約の有無と混雑する時間帯
博物館の入場チケットはオンラインまたは現地で購入可能です。一部の特別展示(「タイム・ヴォールト」や「子どもの遊び場」など)については、事前に時間指定の予約が必要になります。
最も混雑する時間帯は12時から15時の間で、この時間帯を避けると比較的スムーズに入場できます。特に週末や祝日は訪問者が多いため、事前予約をおすすめします。
入場料金
入場料は一般170SEK(スウェーデン・クローナ)、シニア(65歳以上)および学生(要学生証提示)は150SEK、18歳以下は無料となっています。
開館時間
開館時間は季節によって異なります。9月から5月の期間は、月曜・火曜・木曜~日曜が10:00~17:00、水曜のみ10:00~20:00です。
6月から8月の夏季は毎日10:00~18:00の営業となります。特定の休館日はありませんが、祝日やイベントによる変更がある可能性があるため、事前に公式サイトで確認すると安心です。
北方民族博物館の見どころ・感想

ストックホルムのユールゴーデン島に位置する「北方民族博物館(Nordiska museet)」は、スカンジナビアの歴史と文化を深く学べる魅力的な博物館です。まず目を引くのが、壮大なルネサンス様式の建築です。荘厳な外観はまるで宮殿のようで、ストックホルムの街並みにもひときわ存在感を放っています。建物の前には広々とした広場があり、入口へ向かう途中からすでに北欧の歴史の世界へと引き込まれるような雰囲気があります。

館内に入ると、まず天井の高い壮麗なホールが迎えてくれます。ここにはスウェーデン王国の建国者、グスタフ・ヴァーサ王の巨大な彫像があり、圧倒的な存在感を放っています。館内は4階建てで、それぞれのフロアに異なるテーマの展示が広がっています。展示内容は非常に多彩で、16世紀から現代までの北欧の暮らしや文化を紹介する品々が並び、伝統衣装や家具、工芸品、民俗芸術などが丁寧に展示されています。特に、各時代の住居や家具の再現展示は非常にリアルで、その時代の暮らしを体験するような感覚になります。

4階の「Nordic Life(北欧の暮らし)」展示は特に見応えがあります。ここでは、1600年代から2000年代に至るまでのスウェーデンの生活様式が詳しく紹介されており、各世紀ごとの生活道具や衣服、家具、日用品がガラスケースに収められています。個人のストーリーを交えて解説されている点が特徴で、当時の暮らしをより身近に感じることができます。また、インタラクティブな要素も多く、展示の一部にはタブレットが設置されており、映像や音声を通じてさらに深く学ぶことができます。

また、「Nordbor(北方の人々)」という特別展示も非常に興味深く、スウェーデンや北欧の人々がどのように暮らし、どのような文化を築いてきたのかが詳細に解説されています。背景音楽や照明の演出も工夫されており、まるでタイムスリップしたかのような感覚になります。さらに、館内には「北極圏(Arctic)」に関する展示もあり、極寒の地での生活や気候変動の影響について学ぶことができます。

展示の合間には、館内のカフェで一息つくこともできます。スウェーデンの伝統的な「フィーカ」(コーヒーと軽食を楽しむ習慣)を体験できるカフェが併設されており、北欧らしい温かみのある空間でゆったりと過ごせます。また、ミュージアムショップには、地元の職人による工芸品やスウェーデンならではの雑貨、書籍が揃っており、お土産選びにもぴったりです。
残念だった所・注意点

館内は非常に広く、展示数も膨大なため、じっくり見て回るには最低でも2時間は必要です。また、展示の多くがガラスケースに入れられており、一部の展示は説明文が少なく、より深く知りたい場合には音声ガイドを利用するのが良いでしょう。公式アプリをスマートフォンにダウンロードすると、無料で音声ガイドを聞くことができますが、イヤホンを持参する必要があります。
展示室内は薄暗く、照明が控えめな場所も多いため、細かい展示物を見る際には少し見づらいことがあります。
展示の配置についても、やや雑然としていると感じる部分がありました。「北欧の暮らし」エリアでは、16世紀から順番に展示されているものの、年代ごとの統一感がやや欠けており、各展示が独立して並べられている印象を受けました。そのため、歴史の流れを体系的に学びたい場合には少し分かりにくいかもしれません。また、映像やインタラクティブなコンテンツがあるものの、スクリーンの数が限られており、人気のある映像ブースでは順番待ちが発生することもあります。
総評
スウェーデンの歴史や文化を学ぶなら、北方民族博物館は訪れる価値のある場所です。外観の美しさもさることながら、館内の展示は非常に多彩で、時代ごとの生活の変遷を興味深く知ることができます。
館内の照明や展示の配置には多少の改善点があるものの、全体的には満足度の高い博物館でした。時間に余裕を持って訪れることで、より充実した体験ができるでしょう。